5月号|「◯助」がもたらすもの

 

企業による共助 長岡造形大学 福本塁氏の講演録を読んで思うこと。


3.11東日本大震災は、2021年3月で10年が経過した。福本氏の取り組みは、一つは地域の自律的な復旧はどうすれば果たせるのか。地域に何が埋め込まれていれば、災害時に人々が助け合える仕組みが発動・発現するのか?そして、もう一つは、世代を超えて防災(復興・地方創生)について「楽しく」話し合える場をつくるには?でした。広域災害に対する復旧には、行政だけでなく、住民、企業、団体の各主体が自ら『能動的』に取り組む必要があり、結果そうした取り組みが『集積』し、時間の経過と共に『地域の復旧・復興・創生』につながっていくと考える。行政任せではなく、あくまでも『自分たちの地域は自分たちで守る』という発想で能動的に再生・創生するには…。防災を推進する上で『自助・共助・公助』という三つの需要な概念がある。これらの概念は、米沢藩主・上杉鷹山の『三助の精神』が語源と言われている。「自助・互助・扶助」、自分のことは自分で、それが出来なければお互い助け合い、それも無理であれば藩から救済をしましょう。ということである。「自助」は自分で助ける自己責任。「公助」は行政や国の社会責任。では『共助』は?
ここに大きな課題がある。古き良きご近所付き合いは徐々に希薄化、地域コミュニティも学校再編などにより崩壊しつつある。まず考えよう、地域における『企業の共助』とはなんであろう?人材規模、経済規模において地域社会の再生に大きな影響を及ぼす資源を持っている企業は、個人性が大きい住民、公共性が大きい行政に対し、『企業という存在は住民と行政の間を補完する役割』を果たすということだ。
そもそも企業活動とは社会に対してある責任を遂行することで対価を得て持続・継続していく。当然その目的は利益追求であるが、それだけでは成り立たない。つまり地域や社会が存在して初めて成り立つものである。地域社会が震災のように非常事態に陥ったら企業はその責任において行動を起こさなければならない。そのためには、ナリワイである商売を通して構築された地域の結びつきが災害時に限らず、地域の課題解決に向け最大限に活用できる『力』となるよう養っていかなければならないということだ。
3.11津波により壊滅的被害を受けた農家が、復旧を果たす道のりの中で、途方に暮れている自分を叱咤激励してくれた友人や、一緒に瓦礫拾いをした多くのボランティアの方々、土づくりからの地道な農作業を指導してくれた人たち…収穫までに至るこの間にどれほどの出会いと感謝があったことか、当時を振り返る農家さんの顔は実に穏やかでやさしく、そしてたくましいものであった。特に印象的だったのは、ボランティアを含め、多くの専門家や他業種の企業をつなげてくれた地元の中小企業の社長で一番の友の存在。彼のプロデュースというかコーディナーターがなければこのプロジェクトは存在していない。その後、この農家は、地域のために何かできないか?復旧への恩返し?多くの想いを胸に、営農再開を諦めている農家や耕作放棄地の問題に積極的に取り組み、いまでは地元農家を巻き込み大規模な農業法人として雇用を創生しかつ品質の高いコメをつくり、販売している。商いの力で培われた連携・提携の力が最初は自社の復旧をさまざまな協働の力で成し遂げ、次いで地域の復興の牽引に至る。地方の商売の持続可能性をここでは、被災からの復旧そして復興のケースで紹介しているが私は思う…
今、コロナ禍でココ伊豆は観光・飲食をはじめすべての産業が非常事態にある。今だからこそ地域力を活かしプロジェクトを立ち上げ、地元の多種多様な事業者たちが連携・提携することでこの地にイノベーションを起こし、やがてそれを伊豆創生の原動力としていかなければならない。ことを!

 

 

中小企業の経営者にとって最大のリスクとは何か?


それは、自分の間違いを正してくれる人がいないということ。あなたが経営に大きく影響する判断をしたとします。今あなたの会社には、「それは違います」と言ってくれる辛口社員、右腕社員はいますか?そう、これが中小企業の抱える最大のリスクなのです。世の中は大きく動いています。変化し続けなければ進化はなく、進化できなければ存続は危ぶまれます。判断を間違えれば会社は傾きやがて倒れます。そんなリスクを回避するには、結局のところ『人材』です。ある中小企業の社長が商工会議所の仲介で首都圏の複業を希望する人とのマッチングを試みました。100人ほどの応募から選ばれた、ただ一人の人材は、面接時に「社長、私は月収はいりません。社長と共に、この会社の課題を一緒に汗をかいて解決し、成果を出したいだけです」と言ったそうです。社長と同郷でもあったこの人と意気投合した社長は、契約を結び、ただちにプロジェクトを立ち上げ成果に結びつけたということです。さて、あなたはここから何を感じるでしょうか?

 

コトウダグループ(古藤田グループ)