1月、2月合併号|『一日逸膳』

 

『一日逸膳』を心掛けとす。


農林水産省の2020年度の『食育に関する意識調査』で、コロナ拡大の前と後では、あきらかに食生活に変化が起き、『食』に対する意識が変わったことがわかった。いわゆるお家時間が増えたことで、「自宅で食事を食べる」「自宅で料理を作る」「家族で食事をする」その回数が増加した。特に20代~30代の増加が顕著だが、実のところ、このことが食のおいしさ、楽しさに通じた精神的な豊かさにつながっているかといえばそうとも言えないようだ。40歳前後の子育てに追われる主婦や仕事との両立に忙しい共稼ぎ夫婦にとって、その対応に戸惑う家庭もある。微妙な夫婦関係、家族関係からの摩擦…については触れずに、今号で注目したい原因のひとつ、失われつつある「日本の伝統的な食文化」について考えていきたい。皆さんはご存知であろうか?『和食』が2013年にユネスコ無形文化遺産に登録されたこと。そしてその背景に、現代の日本人が『食がもたらす伝統・行事・儀式・社会的慣習、それらにかかわる知識や技術を守って継承しながら育てていくという意識がどんどんと低下』しており、それと共に毎日の食生活が乱れ、生活習慣病が年々増加している。にあることを。まあ、理屈はさて置いて、私は、コロナ感染拡大以前の、2年前から昼は弁当にしている。キッカケは健康面の不安からだったが、『弁当を作り続ける』ことで私自身だけでなく、家族全体に変化をもたらした、その実体験を話すことにする。弁当を作るということは、当たり前のことだが『おかず』がいる。毎日『日の丸弁当』というわけにもいかない。日の丸弁当といって通じる世代はいつ頃までだろうか(笑)。ゴボウやレンコンのきんぴらやひじきの煮物、ほうれん草やブロッコリーの茹でたもの、自家製のたくわんや紅ショウガなど、惣菜や漬物を朝から作るわけにはいかない。そこは家族の協力を仰ぐ。もちろん週末は自分でも作る。そのことで、冷蔵庫の残り物、野菜などをダメになる前に使うようになった。とんかつ、てんぷら、揚げ物が夕食に出れば、次の日は必ずその『残り』を甘く煮ておかずにする。これぞ弁当を作り続けることで始まった、我が家のSDGs活動。食品ロス対策なのだ。さらに、精進料理よろしく健康的な料理が食卓に並ぶ。やり始めるともっと知識が欲しくなるし、いろんな料理も作れるようになりたいと思う。最近ではお寺が配信している精進料理のYouTubeばかりを見ている。うちは、父親が畑をやっているので、一年中手作り野菜が手に入る。柚と大根、それに母親が北海道の出なので、道内産の多種類の昆布、それらを利用して最近は『甘酢漬け』に凝っている。家族もうまいうまいと食べてくれるので、期待を裏切らないよう努力を怠らない。食の基本テーマは、地のモノを使うこと。父親の畑の収穫物が優先だが、その他欲しいものは、農の駅や中伊豆の季多楽に行けば大概は揃う。ついでに紹介すると、魚屋は『修善寺駅前の魚梅』、肉は『大仁橋のひらい精肉店』がうちの御用達。うちの両親が80歳過ぎても、まあまあ健康なのは、畑仕事と料理と地の酒のおかげといって過言ではないだろう。2021年もそろそろと暮れて年末には、うち定番のおせち料理づくりが待っている。私が手を出す隙間はないだろうが、少々ジャマと言われようが、可能な限り近くで料理をしているところを見ようと思っている。レシピは無い。見て、やって、舌で覚え、忘れないようにメモるしかない…(笑)。『職人か~!』。でも、どのうちでも似たようなものだと思う。その家の味を伝承していくには、伝える側にも受けとる側にもそれなりの覚悟がいるのだ。『一日逸膳』そんな言葉はない。私が勝手に思いついた造語だが、私は正直この社会の未来が不安なのだ。『地球も人間も健康であり続けるために必要なこと』の大切なひとつとして『食』にこだわり、その体験を発信できたらと思う。いろんな意味で伊豆に生まれ、暮らす喜びを実感する今日この頃である。ありがとうIZU!!

 

 

食堂を『じきどう』と読むことをご存知か?


食堂(じきどう)は仏教用語で、僧侶が食事をする所を意味する。この食堂(じきどう)をコンセプトとして「素材の良さを活かした調理法で、美味しいと感じながらいただく食事の楽しさと日常の中に取り入れられる、肩ひじ張らない精進料理を広めたい」と10年前から食堂を始め、2021年7月リニューアルオープンしたのが、JR秋葉原~御徒町駅間高架下『チャバラ』内にある精進料理食堂「こまきしょくどう」。ここでは、三厭・さんえん(肉・鳥・魚)、五葷・ごくん(ネギ・にんにく・にら・らっきょう・あさつき)を不使用とした、こだわりの精進料理を提供している。厳選された野菜や発酵醸造調味料など、体に優しい材料だけを使って作られた食事たちは、現代人の乱れた食生活により不足しがちな栄養素を補うことで美容と健康におすすめ。まさに私が取り組んでいる『一日逸膳』が目指す食事であり、毎日の積み重ねが日本の伝統的な食文化を現代のカタチに合わせながら維持・伝承していこうという意義深い取り組みなのだ。などと知ったかぶっていますが行ったことがありません。百聞は一見・一食にしかず!実際に行って『食』してくることに!食べることで学ぶ!さすれば料理の腕もあがるはず。行動しなければ発信になりませんから~(笑)。

 

コトウダグループ(古藤田グループ)