6月号|ムリなくムダなくムラなく

 

イノベーションが起きる瞬間とは!?


先日久しぶりに会った学生時代の友人とイノベーションについてアレコレ話をした。彼は今、ある企業とイノベーションが起こりやすい環境づくり?に取り組んでいるという。お前はどう思うと問われたので、そりゃあ毎日の積み重ねかな。いわゆる虫の目、鳥の目、魚の目の視野・視点をもっての探究や探索の習慣から、日常の生活や仕事の中の『あれ!?』っていう違和感に気づけるか。それこそがイノベーションに近づけるかどうかの境目だ。手前みそだけど「料理をさせればいいんじゃない」と答えた。料理をしない彼には料理がイノベーションとどうつながるのか想像もできない。実はそれこそが本質だったりするんだけど。僕は母親が亡くなってから毎日台所に立つ生活をしている。父親の畑から採れる収穫物の調理、残り物のリメイクなど、できるだけ簡単に無駄なく美味しい料理を作り続けるためにはどうしたらいいかを考える。これまでは趣味の範囲内で自分が好きな麻婆豆腐やパスタをたまに作ってきた。毎日となるとそうもいかない。煮物、揚げ物、蒸し物、焼き物と今までしてこなかった調理法にチャレンジする。暇な時間は、料理に関係するYouTubeから学んだり感じたり。その中でお気に入りの1つが「パレ・ド・Z~おいしさの未来」。料理界のイノベーターたちが未来に残すべき料理を創作する。彼らには共通する料理哲学がある。調理の基本は五味。甘味、塩味、酸味、苦味、旨味。そして香りや食感、見せ方といった五感。創作された料理を食す時、人は、はじめて経験する刺激に、驚き思わず目をつむり、「う~ん美味い」とうなる。世界中には、多種多様な食材、調味料、調理法がある、それらをどう組み合わせてどう調理するか。『五味五感の極み』。道場さん曰く「自分が食べて美味しいと感じるものを作ることが、料理上達の基本」「僕は同じものを作るのがいやでね92歳になった今でも何か新しいことが出来ないか探しているんだ」道場さんの語りから出口さんの言葉を思い出す。イノベーションを生み出すために必要なのは「ダイバーシティ」。既存値と既存値の組み合わせ。その組み合わせはできるだけ距離が遠い方がいい。それを自分の頭で感じて、考えて、カタチにすること。イノベーションに限ることではない。正解の無い、混沌とした今をそして未来を生きていくには、学ぶことが不可欠。学び方には色々あるだろう。人と会ったり、本を読んだり、行ったことのない場所に出向いたり。で、僕の場合は、そういったことを毎日の料理を通して実践し体験する。何事も一朝一夕には成らないのだ。とはいえ学ぶことを習慣化することは、結構難しいこと。でも好きなことや興味のあること、僕の場合はそれが料理だったけど、スポーツやガーデニングや野菜づくりなど自分のライフスタイルにムリなくムダなくムラなく取り入れられる活動を通してなら出来るかもしれない。変化するためには、『環境』を変えることが一番。養老さん曰く、人間だって動物だって草花だって一つとして同じモノなんてありはしない。それをひとくくりするような生活を社会を常識とするから世の中はドンドンおかしなことになっていく。まずは人間らしく生きるために、たまには山でも歩けと。スズキの元会長は、順風満帆右肩上がりなど無い。伸びて縮んでまた伸びる。決断したことが思い通りいくのはせいぜい20%。決断の方法?最後は『カンピューター』と笑いながら答える。何はともあれ、正解はない。これまで挙げたキーワードをジグソーパズルのように組み合わせて、ハメては壊し、壊してはハメてを繰り返していくうちに、何かに気づき、感じて考えて想像して創造することで、きっとイノベーションの起こる瞬間へと導いてくれると信じている。

 

 

誰かに打ち合分けたいけど、誰にも言えない想い、言えなかった想いを語るラジオ


NHKで観た『病院ラジオ』を紹介する番組。お笑いのサンドイッチマンが病院に出向いて、スタジオ設置して、ラジオを放送する。出演するのは、長期療養を強いられている子ども、最愛の子どもを亡くした親、難病の子どもと一緒に奇跡を信じて闘う家族と様々。紹介された舞台は「長野こども病院」。そこで出会った血液の病気と闘う少年の話。つらい治療の経験。病室から一歩も外に出られず、ココロがなえ、つらくて毎日泣いていた彼の気持ちを前向きにさせる方法、それは『先延ばし』という希望。YouTubeとかでご飯を食べる、旅に出かける。いつか必ずこれを食べよう、あそこに行こう、やりたいことは先延ばし、だから今は我慢ができる。楽しい番組は僕のセラピーのようなものと語る。サンドイッチマンの想い。世界には知らなかった思いがたくさんあって、知らない世界が広がっている。私たちが見ている世界なんて、もしかしたらとってもちっぽけなのかもしれない。大切なものを失ったり、世間の風の冷たさに悲しくなったり、生きづらさを感じて苦しんだり、どんなにつらいときも、苦しいときも、生きてみたその先に、小さな希望があるかもしれない。だからこそ今を精一杯生きよう。そんなラジオ番組にしたい。同じような経験をこどもの頃した僕だから同感できる。

 

コトウダグループ(古藤田グループ)