7月号

 

井村雅代さんの講演録を読んで


アーティスティックスイミング(旧シンクロナイズドスイミング)で、2004年アテネオリンピックまで6回のオリンピックに日本代表を送り込んだ、日本代表コーチ井村雅代さんは、その後中国の代表コーチとして2回のオリンピックを闘い、2014年再び日本代表コーチに復帰しました。

10年ぶりに日本選手を教えることになった井村氏を待ち構えていたのは、日本の若者の変化。あいさつの仕方、人への感謝の気持ちの表現、トレーニングに臨むモチベーション…あらゆることが変わってしまっていた。私から見ると彼女たちは『宇宙人』のよう、彼女たちから見れば私は『化石』。はてさて、どこからどうアプローチしていいか途方に暮れた最初の一年。井村コーチがまず言い聞かせたこと、それはプールは『競争をする場』であること。みんな一緒が一番好きな彼女たちには仲良く楽しくこそが最良のチームワークと絆だと信じて疑わない。そんな彼女たちへ「チームワークと絆は、間違いなく大事です。でもシンクロという一つのクループの中で一人ひとりのスキルが上がっていく、そういう集団の中でこそ真のチームワークと絆は生まれるのであって、あなたたちの場合は傷のなめ合いですよ」。そう彼女たちに諭す井村氏自身、技術・体力・精神力を身に着けさせるのと同時に、選手たちの『心のスイッチを入れてあげること、背中を押してあげること』もコーチとして重要な仕事の1つであることを認識したそうです。メダルを取れずに負けて帰ってきた選手たちに、周りの大人達が「精いっぱいやったのだから、いいじゃない」そんな言葉を掛けていては、選手たちはそこから何も学べない。負けはすなわち失敗。勝つことを知らない選手たちは、苦しい練習に耐え抜いた末の達成感というものを味わったことがない。「あ~負けちゃった。ちょっと悔しいけど楽しかったからまあいいか」それでは世界では闘えない。「現に当時の選手たちはとても下手でした。」上手になるには、徹底的に練習するしかない。でも相手は宇宙人、そして私は化石。意志の疎通は、なかなかできない。私の目指すところには届かない。

私はプールサイドのホワイトボードにいろいろな言葉を書いてみました。「練習はうそをつかない」「練習は試合のように。試合は練習のように」「自分はどの程度できていると思う?」「もっともっと自分の可能性を信じなさい!」今の選手たちに大事なのは大きな目標ではなく、毎日毎日1ミリずつ進歩していくこと。1ミリの進歩が達成感を生み、喜びとなり次の1ミリに向かうモチベーションとなるのです。「叱って、直して、ほめる」私の指導方法に今も昔もブレはありません。下手だから下手という。本当のことを言うのです。ただし、叱っていても冷静な自分を保ち具体的な直し方を指示する。『叱り方のコツは、その場で叱ること。古いことを持ち出さないこと。しつこく叱らないこと。そして叱るときは本気で全身で叱ること。もっとも大事なことは、今より必ず良くなると信じること。相手の可能性を信じること』なのです。こうして、リオオリンピックでは銅メダルを取ることができました。2020東京オリンピックまであと一年。宇宙人と化石の格闘は続きます。「諦める」と言えば今すぐ人は諦められます。いつでも諦められるのですから、今諦めてはいけません。この精神でオリンピックを目指します。選手たちを必ず世界一の舞台に連れていきます。

講演録を読みながら、井村コーチの熱い想いを感じつつ、かなりデフォルメしてしまいました。来年が楽しみです。がんばれ、日本!

 

 

常にポジティブであれ


なでしこジャパンを世界一に導いた名将・佐々木則夫前日本女子サッカー代表監督が教えてくれた大切なこと、それは”勝てるチーム”をつくるために大切なのは「心を変えること」。必ず「できる」ということを信じさせること。そのためには…

「できる限りシンプルに目標を掲げる」

— 自分たちは今どこにいて、これからどこへ向かうのか。何を目指しているのかを見える化する

「ほんの少しでもできたことを評価する」

— 反省することは大事なことだが、それ以上に大事なのは、できたことを確認すること。できなかったことをあげつらうんじゃなくて、ほんの少しでもできたことを評価する。「私はできる」「私たちはできる」を、その都度チーム全体で共有することで、目標に向かって着実に進んでいることが明確に確認できる。そして、それがやがて静かな自信となってチームを育てていく。

「チャレンジを評価する」

— トライした上での失敗は、評価として伝えてあげること。その過程の繰り返しの延長線上にこそ、成功は生まれる。

…リーダーの仕事は、メンバーのポジティブな面に常に目を向けること、そしてメンバー自身の目をポジティブな面に向かせて、前に向かって進めていることに気付かせること。

 

コトウダグループ(古藤田グループ)