6月号|『藍』のチカラで未来をつくる

 

『藍』のチカラで未来をつくる


NHKの大河ドラマで話題の豊臣兄弟。豊臣秀吉を天下人に押し上げた股肱の臣のひとりに蜂須賀小六という私が大好きな武将がいる。尾張・川並衆として木曽川の水運を支配し、あの墨俣の一夜城築城を成し遂げた人であるのだがこの蜂須賀小六こそ、今回のテーマ『藍』を阿波の特産品として生産から流通、販売までの仕組みをつくり、現在の『阿波藍』が全国ブランドとなる基礎を築いた人なのだ。ジャパンブルーとして日本人はもとより世界中から愛されている『藍』。日本の伝統的な藍染めの技法から生み出される藍色は、深く、鮮やかで人々の心を魅了する。母親が好きだったので私も子供のころから部屋着にしていた。実はここ静岡・御殿場にもこの藍の技が受け継がれていることをつい最近知った。「みくりや染織」と呼ばれている。みくりやとは御厨と書く。時代は相当さかのぼって1100年頃、現在の小山、御殿場地方に伊勢神宮の荘園があって、伊勢神宮の台所をまかなうための神宮領に指定されており、物産を貢納する地域であったことから、厨(くりや)すなわち台所という意味でこの地方を御厨(みくりや)と呼んでいた。戦国の世が終わり豊臣政権が樹立する頃には東海道が整備され、この地方は関西と関東を結ぶ交通の要衝となり物資、文化、人の交流が盛んに行われた。『阿波藍』の技術、技法や原料となる「蒅(すくも)」もその一つとして伝わり、御殿場に独自の『藍文化』をつくっていく。ついでに『御殿場』という地名は徳川家康が江戸と駿府を行き来する途中の隠居所として御殿が造営されたのが始まりだ。この御殿場の地に江戸・文久年間創業で当代で4代目となる『正藍染 小原屋(しょうあいぞめ こはらや)』がある。正藍染(しょうあいぞめ)は、室町時代から続く日本古来の技法で、藍の葉を発酵させた「すくも」と「灰汁(あく)」のみを用いて染め上げる天然染め。化学薬品を一切使わず、手作業で染め液を管理するため、深い藍色、高い抗菌性、汗や洗濯に強い耐久性を持っている。藍の葉の薬効効果としては、擦り傷切り傷、解毒、防虫、消臭作用などがあり、さらに藍染した布や糸は燃えにくく、江戸期の火消しが好んで藍染の半纏を着て江戸を火事から守っていたという。こうやって歴史を紐解きながら徳島・阿波と静岡・御殿場をつなぐストーリーを探求していくと改めてその魅力に惹かれる。正藍染の技法で藍染された布や糸から生みだされるさまざまな製品、作務衣などの衣類からアクセサリ、インテリア…にはまったく古臭さを感じない、むしろ新しい未来へのチカラや、可能性を強く感じる。実は、今回『正藍染 小原屋』で藍染の修業をしている一人の若者との出会いがキッカケでコラムを書いている。彼女はまさに藍に愛されし者。Z世代ど真ん中の彼女に刺さる感性はエモ消費、すなわち伝統のチカラに新しい感性をプラスした価値観を、世代を超えて未来へつなげてくれることであろう。『もう伝統工芸品などとは呼ばせない。』藍のチカラに大いなる期待を込めて、私も藍染めのある暮らしを始めよう。

 

 

子供と親のギャップ


地域のイベントに顔を出すと、子供が楽しめるブースに目がいく。金魚すくい、射的に、輪投げ、駄菓子売り…昭和の子供たちがお祭りで楽しんでいたもの、古き良き時代の復刻かとそこまで感じてあれ!?と思う。古き良きとか昔流行ったとか、自分たちの子供の頃の遊びとか思うのは大人の思い出であって、目の前で楽んでいる子供たちにすれば、今出会った新しい遊び、食べたことのないお菓子、おもしろいゲームなんだよね。もっと自由に今の子供に遊んでもらったら、きっと今の子供の感性で、ココがこうなったらもっと面白いのにとかエモいのにとか進化させてくれるんだろうな。今話題になっているエモ消費、写ルンですやルーズソックスも、昔のそのまんまんの作り方、素材、使い方、売り方ではなく、今の世代に刺さるよう創意工夫がされていることに注目しなければならない。親は子供の遊ぶ姿や喜ぶ顔を眺めながら、その感情を共有し自分の古く枯れた感性に刺激を与えて、一緒に楽しむ、一緒に遊ぶ、ことで同じ時間を過ごすことが大切なんだと思う。親の目線での決めつけは何事においても、子供のためにはならないですよね。

 

コトウダグループ(古藤田グループ)