6月号|コーチの役割

 

コーチングの極意– 渋野日向子選手のコーチ青木翔氏 –


コーチの役割は気づかせること – スポーツに限らず、ビジネスシーンでもよく耳にするようになっている「コーチング」という言葉。その語源は「馬車」だと言われています。 馬車は、乗客を目的地へ送り届けることを目的としています。コーチは生徒を目標へ導く存在。それを行う方法だからコーチングと言うんですね。 今では広く使われている言葉なので、いろいろな解釈があると思いますが、僕はコーチングを、「選手自らが結論を出せるようにサポートすること」だと思っています。だから、僕は答えを教えません。こちらが正しい結論(答え)を知っていても、それを教えてしまっては、選手が自ら結論を出せません。 答えを教えてあげれば目の前の問題は解決するかもしれませんが、選手には問題を解決する力が身につかないのです。 答えを教えてあげることを繰り返していれば、一度解決した問題はクリアできるようになるでしょう。ですが、答えを教わっていない新しい問題に直面したとき、自分自身の力でそれを解くのはとても難しくなります。 僕は選手に「明日俺が死んだらどうするんだ」と口酸っぱく言っています。 コーチや先生、上司、親はいつもそばにいることができません。そんな状況で問題に直面しても、一人で乗り越えられるようになること、コーチである僕はそれを目指しているのです。 少し抽象的な話になってしまったので、ゴルフのプレーを例に説明します。選手自身の気づきが成長につながる。例えば、ベストスコアがかかった大事なパーパット。絶対に外したくないと、あなたはキャディとして同伴するコーチにラインを聞くかもしれません。僕がコーチなら正解は教えないでしょう。ラインを教えればパットは入るかもしれません。でも次に訪れる大事な機会。あなたはプレッシャーに打ち勝ち、自分の力で正しいラインを読み切ることができないまま迎えることになってしまいます。 しぶこが全英女子オープンの優勝を決めたパットもそうでした。外せば人生でまたとない、メジャー優勝の機会を逃すかもしれない。でもあれほどしびれる場面で、自らラインを読み切りバーディを決められれば、とてつもなく大きなものを得ることができます。その経験は彼女のゴルフだけでなく人生の糧になる。僕はしぶこが読んだラインがたとえ間違っていたとしても、同じように彼女の決断を尊重したでしょう。 大事なのは、答えよりもその経験から得られる気づきだからです。

 

 

ピンチをチャンスに


医学研究者の山中伸弥氏が新型コロナウイルスへの対策について、これは「長いマラソン」のようなもの。正しい行動を粘り強く続けていけば、ウイルスの勢いも弱まり、人類との平和的共存も可能であろう。と話しています。 要するに、撲滅はできない。ならばウイルスを弱毒化させながら人々の暮らしの持続可能を高めるための「変革」が必要不可欠であるのです。これまで当たり前だと思っていた生活様式も経済活動も企業経営も、ココで大きく見直して「変える思考」、そして「未来への志向」を強く持って自らの力で切り拓いていく行動力が試される時なのです。 今、我々は逆境にあります。このピンチをチャンスに変える思考と行動で、狙い通りの成果に結びつけることが出来れば、もう、コロナなんて怖くありません。「ピンチをチャンスに!」人生を変える魔法の言葉です。

 

コトウダグループ(古藤田グループ)