11月号

 

日本銀行 宮田慶一氏の講演録を読んで


『ラグビーから学んだ和の心』

ラグビーでは、試合後にグラウンドでお互いをたたえ合う(エールを交換して全員で握手)行為があります。この“No side”の行為は、単にたたえ合うということでは終わりません。正式なラグビー場には懇談室が備え付けてあり、試合後、シャワーを浴びて正装に着替えた両チームがここで交歓会(After match function)を行うのです。また、ファンにも基本的に敵味方の区別がなく一緒になって観戦をします。つまり、観客は特定のチームではなく、ラグビーを見に来ているということなのです。敵のミス、反則に拍手を送るなどという行為も言語道断。むしろ、敵味方を超えてファインプレ―に拍手を送るというのがラグビーの精神、応援のマナーです。よく知られた“One for All,All for One”と“No side”の意味は、敵も味方もそして国も超えて、ラグビーを愛するみんなが一体となってラグビーを楽しみ、試合の後は互いの健闘をたたえ合うということなのです。
氏は小学5年生でラグビーを始め、中学時代は関東大会で優勝した経験もあるそうですが高校に入ってからはケガが続きラグビーを途中で断念することになりました。30代になって再び夢を追いかけましたが結局はケガに泣かされたラグビー人生だったようです。宮田氏は語ります。ラグビーを通じてかけがえのない友人をたくさん育み、人種、国境を越えたネットワークを築いていきました。厳しい練習を通じて得た、何事も全力で取り組む精神、『逃げない』『負けない』『諦めない』を家訓とし、家族そろってラグビーファン。家族はラグビーで団結しています。
そして次に氏が話されたのが10年以上コーチを務めている世田谷区ラグビースクールの話です。「ここではラグビーを通じた人間育成を重視しています。これは勝利至上主義ではない、ということです。ラグビーの技術指導に加え、幼稚園・小学校低学年ではラグビーを楽しみ、友達をつくること。中学年になれば規律・マナーの順守を求めます。高学年ではルールの理解と反則をしないことを身に付けさせます。同時に落ちこぼれをつくらないようチームワークを磨きながら、最終的に勝利を目指したチームづくりを両立させます。」こうして氏はラグビーの指導者としても歩み始めたのですが、教える立場になって感じたこと気づいたことが、例えば親子関係。親が自分のできなかったことを子供に託そうとすると、多くの場合、子どもはラグビーを辞める。「そもそもこういった親は子どもに厳しすぎるタイプが多いんです。そしていわゆる過保護、あるいはモンスター・ペアレント系の親の子どもは、わがままで協調性に欠ける傾向が強い」という印象だと話す。さらにはあいさつや呼ばれたら返事するといった基本動作が身についていない子供が実に多いということです。大事なことは叱ること。愛情を以って叱り、克服したら褒める。それが私の考えです。と語る。
最後にラグビー憲章の紹介をして、氏は話を締めくくられた。
ラグビー憲章は、競技ルールと共に欠かすことのできない重要なものとして定められており、5つの項目から成っています。①品位(Integrity)品位は誠実さとフェアプレーの精神によって生み出され、ラグビーゲームの核を成すものである。②情熱(Passion)ラグビーに対する情熱は世界中のラグビーファミリーとの一体感をもたらす。③結束(Solidarity)ラグビーは、文化的、地理的、政治的、宗教的な相違を超えた友情、絆、チームワークをもたらす。④規律(Discipline)規律はラグビーに不可欠なものであり、フィールドの中のみならず、外でも守られるべきものである。⑤尊敬(Respect)チームメイト、対戦相手、レフェリーなど、試合に参加する全ての人を尊敬する。ここで紹介された品位・情熱・結束・規律・尊敬は、ラグビーのみならず、あらゆる組織、集団に当てはまるものであり、この5つの言葉は、いたってシンプルでわかりやすい。すばらしい言葉であると感じました。

 

 

人づくりこそ『未来づくり』


未来のことをおもんばかる上で最も重要なことは、次世代の子供たちへの『学びの場』の提供である。学びは導きとなり、必ずや人を育むことにつながる。どうせなら、世界を変える人に!
インフルエンサーやイノベーターと言われている人たちの共通の特徴はと云えば…枠に収まらず「飛び出す」欲求のエネルギーに満ち溢れ、誰もやったことのない事にチャレンジし、あきらめず、失敗しても走り、やりきる。
こんな人はどのように生まれ育つのか。金沢21世紀美術館初代館長の蓑豊氏は語る。美術館は街を変えることができる。地元にある『すごい美術館』が子供たちの遊び場であったなら、子どもたちに与える影響は計り知れない無限の可能性を秘めている。今まさに金沢21世紀美術館は、すばらしいアーティストたちが繰り広げるさまざまなアートに魅了さた多くの人が全国各地から集まってくる。地元の子どもたちはココを遊び場として感性・センスを磨く。氏曰く、「ノーベル賞がもらえるような人材をココ金沢から育てたい!」

 

コトウダグループ(古藤田グループ)