3月号|ツナグ

 

続けるということはツナグということ。


伊東市富戸にあるかつまた農園は4代続く商家。初代は苗木作りを主な生業としていて、あの河津桜の名所となっている桜並木の苗木を収めたとか。以後2代3代と果樹の栽培や温泉を掘り当てたり世代は4代目へと続く。これまでつちかった事業も継承しつつ、当代は地下水を伊東八景の天然水として、その販売に乗りだす。それぞれの世代で土地のもつ力、資源をしっかりとものにして商いにつなげていく。まさにこれこそが商いの神髄であろうと感動した。さらにもうひとつ気づいたことは、ココが伊豆半島・世界ジオパークの中でも主要なジオサイトだということだ。相模灘を望み、温暖な気候と恵みをもたらすお天道さん。ミネラルを多く含んだ農業に適した土、地下には温泉が湧き出る源泉、うまい天然水がくみ取れる水路…富戸だからこそ、富戸しかないジオパーク資源を最大限に活用することで、地域の暮らしが保たれ、豊かにしている。また、この富戸からほど近く伊東市鎌田にある伊豆納豆のまるさ食品も赤沢沖の海底800メートルから汲み上げた海洋深層水を製法に取り込み、この海洋深層水を十分に吸い込んだ小豆を使って伊豆ならではの納豆をつくり続けている。私の中では、ジオパークを地域のために活かすとは、観光名所としてジオサイトに観光客を呼ぶこと。という考えに偏っていて、それはなかなか難しいこと、そんな風にとらえていた。でもよく考えたら、ジオがもたらす恩恵である、豊かな土壌や温泉や水はすでに人々の暮らしや商いの中に活かされ、生き続けている、かつまた農園しかり伊豆納豆のまるさ食品もその良い例と言える。さらに視野を広げれば、伊豆の特産物のわさびや椎茸、伊豆近海で獲れるキンメダイやイセエビ、駿河湾の深海魚…すべてこれジオがもたらした恵みに他ならない。PR・広報の仕方に工夫を加え、ジオとこれら特産物や温泉や天然水のつながりをわかりやすく丁寧に説明していけば、これはもうロマンでしかない…そうこのPRべたが伊豆の最大の課題なのだと、まあそのことはさて置いて、意外に身近すぎて当たり前のジオの恵みについて、皆さんも興味深く、面白おかしく探求していってはどうだろう。さて話をかつまた農園に戻すが4代目ってことは、100年は続いてるってことで、すごいの一言だ。僕自身2代目で、創業者から継ぐことは何とかしたけど、つなぐ覚悟はいまだ持てていないでいる。私の友人でわさび漬け屋の4代目がいるけど、一子相伝の味を守り伝えることは、継いだものの使命であり自身の天命として、つなぐことになんらの迷いもなく突き進んでいる。その姿はとてもカッコイイ。が時代は変わり、モノやコトの価値観もまた変わる。商いである以上つなげば続くという、そんな単純なことではなく、そうたやすいことでもない。そういったこともひっくるめて続けるということはツナグということ、家代々が守ってきた『味』を僕自身あらためて味わいなおし、つなぐ覚悟を持ちたいものだ。

 

 

辻村深月著「この夏の星を見る」を読んで


空を見上げればそこに星はある。ISS(国際宇宙ステーション)を追いかける。南から北へ全国各地の中高生が同じ日に、同じ夜に、見えた、見えたよ!感動の叫び声をあげる。誰へだてなくできること。みんなで協力して、進むことだけを考えて、カタチに。学校、地域、世代いろんな境界を超えてツナガル。「コロナめ、これ以上わたしたちから何も奪わないで!」いろんな想いが声になる。コロナによって失われたそんな風になんもかんも片付けてしまったらダメ。だって、僕らは私たちは、これからの先の未来を切り拓いていかなければならないんだから。好きだけど、続けたいけど続けられない。そんなギャップはコロナとか関係なくこれから生きていく上でいくらでもあること。できないこと、やらないことを誰かのせい、何かのせいにしないで!『好き』は大事に、興味や好奇心は手放さずいくつになっても青春する大人になって欲しい。僕自身まだまだ60歳、青春ど真ん中!気力体力を充実させて好きを大事に自分らしく生ききりたい。

 

コトウダグループ(古藤田グループ)