舞台役者の経験が与えるその後の影響
45歳から55歳までの10年間、伊豆の国市民劇団『いず夢』で芝居に熱中した。芝居づくりはモノづくりの最たるものだと思っている。公演2か月前、台本が上がり役が決まり、読み合わせから立げいこを重ねながらセリフを入れていく。芝居は一人じゃできない。当たり前のことだけど何人もの役者がそれぞれの役割をもって舞台上で役を演じる。もちろん素人の集まりだから上手い下手はある。でも僕が許せないのは、いつまでたってもセリフを覚えてこない人。立げいこになっても台本を離すことができないのでは芝居にならない。そういう人は本番もセリフを飛ばす。本番中の劇場には、独特の空気観がある。舞台上センターからの景色は格別なもの。その景色を見たいからストイックな一か月を過ごす。楽しみを壊すな!自分の役割をやり遂げろ!と叱る。この役者の経験も実は周りに強く当たる原因らしい。