7月号|農業をやろう

 

農業をやろう!


コトウダグループでは6年前から4反歩の田んぼで米づくりをしている。プロジェクト名は『ことうだまいちゃん』。私の娘の名前を文字ってつけたものだがこれが結構うけている。知り合いから今年のことうだまいちゃんどう?去年買ったやつ美味かったよ。なんて声がかかるほどだ。そもそもこのプロジェクトは、地域活動で何かと指導してくれた大先輩から、自分も90になって田んぼをやるのがキツイ、息子はやらないと言っているんで、どうだろう君やってくれないか?この土地は僕の生きている間だけでも田んぼとして守りたいんだよ。その想いに応えて始めた訳だが、兼業農家の社員を中心にみんなが協力してくれているおかげで初年から美味しいお米が食べられている。それから6年が経ち、昨年から世間を騒がしている米問題で社員からは大いに感謝されている。うちはそもそも儲けるためにやっているのではない。収穫の半分は社員に提供してきた。今年の秋の収穫分からは、ほぼ全量を社員向けに還元することを決めた。自給自足、福利厚生、人が人らしく生きるための学びの場づくりなど考えてのことだが…まあそれはさておき、実際に稲作を手掛けるとお米となって自分の口に入るまでに、どれだけのお金や手間がかかるかがわかる。田おこしから始まり、苗づくり、しろかき、田植え、そして稲刈り。8~9か月間、人の手をかける。収支的にどうかと言えば、収穫されたものを一般流通価格で販売したとしても利益どころか人件費すら出ないのが実情だ。今回の米の値上がりでようやく手間賃の足しになるとささやかな喜び感じていた農業従事者は少なくないだろう。そのような声を尻目に、世間一般はコメの値上がりを問題視、それを真に受けた政府が備蓄米を使ってその場しのぎの政策を打ち出している。備蓄なんだからいずれは底をつく。そもそもの使用目的が間違っている。一時の人気取り政策も、与党には先々逆効果になることだろう。根本解決策は国民ひとり一人が米づくりに関心を持って、行動することだ。先日、伊豆市の地域おこし協力隊で耕作放棄された田んぼを活用してキャベツなどの野菜作りに取り組んでいる若者たちと話したが、彼らはチャンと感じているし考えている。伊豆の観光が成り立ってるのは一次産業である農林水産が守られてこそだと。伊豆は世界ジオパーク。特異な土壌や水などはすべてジオの恵みである。ココ伊豆の魅力は、その恵みである地域資源を最大限活用した農林水産が支えていることを忘れてはならない。地域おこしの一人が言う。ココ伊豆でなぜ農業をやるかと言えば、シンプルに儲かるから。今は多くの諸先輩方にそれこそ一から十まで教えてもらう立場だけど、3年後、地域おこし協力隊を卒業する頃には、農業の知識も経験もしっかりと身に着け、一本立ちしたいと日夜努力していると…。長年この土地を耕し、米や野菜を作り続けてきた熟練の人たちが世代を超えて、明確な目的、ゴールを目指している若者達に手を差し伸べて導く。次の世代に引き継ぐことの意味を、続けることの難しさをしっかりと受け止めその課題を解決に向け行動している人達がココにいる。まさに地域の未来づくりは、こういった世代間の連携無くして成り立たないこと、いや必ずこうすれば未来は確実にツナガルという実証だ。我々コトウダグループも社員を守るため、地域を支えるため一次産業へのツナガリ、連携を強め、この伊豆の持続可能性を高めていきたいと考えいている。

 

 

梅干しと梅酒づくり


6月7日の土曜日。朝から梅の収穫作業。うちは自宅の庭と父がやっている農園に梅があるのでその2か所からの収穫となる。昨年はウラ年に当たりほとんど採れなかったが今年は約十キロ収穫できた。約8キロは梅干しに残りは梅酒へ。まずは丁寧に水洗い。ヘタどり。乾いた布で水分などが残らないように塩漬けへ。塩分の濃度は18%。塩はもちろん戸田塩。ここから約一か月後、天候もみながらだけど三日三晩の干し作業の後、容器に保存していくことになる。梅酒の方は氷砂糖と40度を超える酒を一キロ程度の梅と一緒に仕込むだけ。昨年は奄美の焼酎、今年はウイスキーにしてみた。一年後が楽しみだ。こういう作業をすると暦(こよみ)と人の営みの関係の深さを感じる。昨年、6月の第一土曜日が梅の収穫の日であった。明日には梅雨入り、梅雨明けが7月上旬と予想されているので丁度一か月後となり、梅の干し作業となる。つくづく人は自然の中で生きているということがよくわかる。一年を通して四季を感じ、旬の食材を食し、楽しむ。人が人らしく生きるということは、そういうことであろうと感じる今日この頃である。

 

コトウダグループ(古藤田グループ)