10月号

 

2065年、超高齢化のピークを迎える日本


先日、ジャーナリストの萩谷順氏の講演を聴いて色々と思うところがあり、講演内容もおりまぜながら話を進めていく。私には今年大学に入学した娘がいる。彼女は2000年生まれであり、65歳となる2065年に日本は高齢化のピークを迎えることになる。来年の2020年から数えて45年後となると私は102歳となりこの世にはいないだろうが現在大学生の子供たちの45年後の未来を考えた時、とても他人ごとでは済まされない。大人としての責任を感じざるを得ない。経営者として又ひとりの人間としていったい何ができるのか…昨今の経営環境を取り巻く課題と云えば『働き方改革』であろう。国は、残業を減らし、休日を増やし、有給取得を促進するべく労基法を強化し法令規制によって企業を強制的に従わせるといった、日本らしいやり方で働き方改革を推し進めようとしている。「休まず長時間、働けば会社は儲かる」そんな考えの浅いブラックな経営者に対して強く是正を促すことには私も賛成であるが、どうも風潮には違和感がある。先般、経団連のトップが今後企業は終身雇用を継続していくのは難しいと発言した。この発言の真意はどこにあるのか?経営者は考えなければいけない。大手企業の台所事情は知る由もなしだが、我々地方の中小企業は、間違っても社員に対して「うちはもう終身雇用はやめます」などということは言えない。むしろこれまで以上に、全社が一丸となりこの先も終身雇用を可能たらしめるよう尽力していかねばならない。私は思う。『働き方改革』は両刃の剣。一見聞こえの良い労働環境整備をすすめて、一方の生産性の向上、作業効率UP、そのための人材育成、学びの場づくりをおろそかにすれば、業績は悪化し、組織の崩壊を招くことになりかねない。要は企業の存続が危うくなるような改革は本末転倒であるということだ。そうならないためにも、しっかりとしたビジョンに基づく戦略と戦術を駆使した『広き働き方改革=経営構造改革』に着手しなければならない。では、ひとりの人間としてはどうであろう。社会の良し悪しは『豊かさ』で測られる。今が豊か、そして未来も豊かであることが確信できるか。これこそが地域社会が元気でいられる原動力である。私がもっか取り組んでいるテーマは『健康』である。萩谷氏曰く現在の日本は肩車社会である。一人の親を一人の子供が背負い面倒を看る。自分が病みつけば、その負担は、すべて子供が背負うことになる。そう考えると、いつまでも健康でいることが家族の豊かさにつながるわけだ。心身の健康維持というのは努力をしないと実現はできない。日頃の生活リズム、食事や運動にどう取り組むか。学びそして行動することが必要だ。精力的に活動すれれば、多くの人たちと出会い、結びつく。本気でやり続ければ、同志ができ生涯の仲間ができる。このようにして、わたし自身の生きる資源(会社なら経営資源)、人・もの・金・情報はバリューアップしていくのだ。健康は一人では完結できない。気の合う仲間と一緒に志をともに行動し歳を重ねることができれば、『豊かさ』レベルは高い値をしめすことができるであろう。企業経営と人間の営みの関係は、マーケティングでいえば『前輪の効率、後輪の効果』のようなもの。切っても切れない強い相互関係で結ばれている。人生百年時代。まずは社会のお荷物にならないよう。今日から、56歳の私の存在価値をしっかりと考え、持っている能力、経験、活用できる資源を最大限生かして次世代の者たちとともに未来づくりに励むこととしよう。

 

 

うつぐみの島、竹富島を守りたい


縁あって、この島を訪れるのはこれが三度目となる。石垣島から高速船で10分ほどの距離にあるこの島には信号はない。この地方独特の平屋づくり、屋根にはもちろんシーサー、どの家も白い珊瑚の垣根に囲まれ、道には水牛と島唄がしずかに時を刻む。島には“うつぐみ”という島言葉があり、みんなで協力する心を意味する。島民わずかに三百数十名の小さな島では、人と人とのつながりなくして生き延びていくことはできない。先人たちが培った知恵、教えは、うつぐみの精神で代々島民たちへと受け継がれてきた。現代に生きる我々に忘れてはならない家族の絆や隣近住民とのつながりの大切さを教えてくれるこの素朴でうつくしい島に、こともあろうにリゾートホテルが建設されようとしている。実は、島の飲料水は石垣島から海底送水管で供給されている。島にとって水は大変貴重なもので現在でもその供給量は十分ではない。そこに大型のリゾートホテルが建てらえたら、島の生活は維持できない。うつぐみの心も壊されてしまう。竹富島を愛するものの一人として「うつぐみの島を守ろう!」声を上げずにはいられない。

 

コトウダグループ(古藤田グループ)