3月号|アート思考

 

『自分で問を立て、応えていく力』
明星学園/公開研究会 末永幸歩氏講演録から


2020年文部科学省が『学習指導要領』を改訂しました。その冒頭に示された未来を担う子供たちへの願いをまず紹介しよう。
『学校で学んだことが、子供たちの「生きる力」となって、明日に、そしてその先の人生につながってほしい。これからの社会が、どんなに変化して予測困難な時代になっても、自ら課題を見付け、自ら学び、自ら考え、判断して行動し、それぞれに思い描く幸せを実現してほしい。そして、明るい未来を共に創っていきたい。』-生きる力 学びのその先へ- 以上。
以前取り上げたAPU学長出口治明氏は「自分の言葉で社会常識を超えてゼロから物事を考え出す力。その力が圧倒的に劣るのが今の日本人である。」と指摘した。また、別の号では、「両利きの経営⇒『知の深化と知の探索』の必要性」について取り上げてきました。いずれも、競争力を失った今の日本人に何が欠けているのか?キーワードは、イノベーション、違和感、想像からの創造、変態…。そして今回、学びの場に『常識を疑い、探求する「アート思考」が未来を生み出す!』というテーマで、多様性あるユニークな学びの場を創り出している末永幸歩氏を取り上げることにしました。まずは『大人』に学んで欲しいことです。ここに、一枚の画用紙とクレヨンがある。絵を書いてください。ではなく、好きなように創作しください。まっさらな画用紙に真っ赤なリンゴを描く。目の前のリンゴをいかにそっくりに、カタチや色をリアルに書き写すかで、いわゆる上手な絵となる。では、画用紙やクレヨンのこれまでの使い方でない、それぞれが思いつくままに好きにやりたいように使って、目の前のリンゴを『リアル』にではなく頭に浮かんだ『イメージ』をカタチにしたらどうなるか?考えるのではなく感じてみてください。もちろん最初は戸惑います。ある1人の児童が画用紙を床に置き、クレヨンを落とことで色を付けることを始める。聞けばクレヨンを投げて壁にぶつける遊びから思いついたと。この子の行動がキッカケとなる。画用紙を一度丸めてガサガサにして広げ直して使う、びりびりに、やぶいてまた貼る。クレヨンをカッターで削って指で押しあてて色をつける。いつもなら白い画用紙に同じようなリンゴの絵が並ぶ教室に、別の景色が現れる…みんなの創作物は、とてもカラフルで、ユニークで、一つとして同じものがない多様性に満ち溢れた世界。そこには、堅苦しくがんじがらめに、正解はこれだと突き付けられ、この通りにやれば上手!と褒められるからその通りにやるといった、旧態依然の『義務教育』では味わえない『学び』の可能性が見えてくる。作品が出来た後、『私はこう思ってつくった』一人ひとりが思いを話す聞く。『互いに面白がる』みんなの感想を参考に気づいたり感じたりして『もっとこうしてみよう、次はこうしたいと自分事にする』。子供たちの内に秘めた潜在意識への『刺激』がキッカケとなり、よみがえる幼児期の感覚。走る車の中から手を出したときに感じた風が面白くて、いつまでも出したりひっこめたりを繰り返したあの日の頃のように、自分でオモチャを見つけて自分で面白がって遊ぶ。目の前の違和感に、なぜ?をぶつけ。想像力を空想力を爆発させ創造する。自分らしい『発見』につなげる。忘れてはいるけど失ってはいない潜在能力。アート的思考とは、その感覚を取り戻すこと。常識にとらわれず、視野を広く、視点を自由自在に。考えるのではなく感じるを意識することで、今よりもっと楽しい人生が拓かれるはずだ。

 

 

人生って『鬼ごっこ』みたいだと思いませんか?
*2021.10~12『顔だけ先生』フジTV参考


「はい、それではこれから鬼ごっこを始ます!」「な~んでこんなことやんなきゃいけないんだよ18にもなって」と文句ばかりの生徒達。とうとう立ち止まって、しゃがみ込む生徒。どうしました?問いかける先生。もうおしまいですか?やめますか?負けますか?選択するのはあなたですよ!他人がどうこうとかではありません。あなたが決めること選択すること。あなたの自由なんです。さあ、どうします?これから先、あなたが何かを追いかけることも、追いかけてもつかまらないことも。逃げることも、逃げ切れないこともあるんです。夢とか希望とか絶望とか、むちゃくちゃ揺さぶられて、道に迷って、叫んで、よくわかんなくなって…そんなこともあるでしょう。そして君は『まじうざ、あ~もうどーでもいい』と、いつもの捨て台詞を言って逃げるんですか。18にもなって!正しいとか間違ってるとか、そんなのはなくて。はっきり見えている時もあるし、そうじゃない時もある。やっているうちに『楽しく』なって、勝ちたいとか負けたくないとかいって、追いかけたり、追いかけられたり。それでいんじゃないかなと思う。などと58にもなって自分自身に問いかけている今日この頃だ。

 

コトウダグループ(古藤田グループ)