6月号|知見を広げる

 

事実は小説より奇なり。とはよく言ったもんだ!


昨年12月、ドイツの首相を退任し政界を引退したメルケル氏は、ベルリンの壁の崩壊を引合いに出しながら、世界が一つになることこそが唯一『カーボンニュートラル』を現実のものとし、壊れかけた地球を救う道であると、ハーバード大の卒業生に語り、彼らに人類の未来を託した。無くなることなどあるはずもない『壁』が彼女の目の前で現実に破壊されていく様を眺めながら、心の中に高くそびえ立つ壁、これまで自分を拘束し、縛り付け、自分の将来への道すら閉ざしていた『精神的な石の壁』が砂と化し消えてなくなることを体現した彼女だからこその語りであった。彼女が政界を去ったおおよそ2か月後、ロシアはウクライナに侵攻した。再び『壁』はつくられたのだ。植民地政策!?攻める前に攻めろ!?資源、農林水産物、労働力確保、富国強兵…国の安全を保障するには核の抑止力は不可欠!? まったく違和感でしかないマスコミ報道、政府要人の言葉。はっきりと言えることは、『世界が1つとなり地球人類を破滅の危機から救うこと』をコミットした2050年のゴールラインは100年以上先送りとなり世界は危機的な負のスパイラルに陥ったということだが…壊れない壁はない。あきらめずに前に進むしかない。
ところで、皆さんは『メタバース』をご存知であろうか。インターネット環境の究極のカタチ。3次元仮想空間。アバターと呼ばれる自分の分身が世界中のあらゆる人やモノや情報とつながりながら、リアル現実と仮想現実を融合させた未来世界。現時点ではゲームの応用程度であるが、映画やアニメの世界ではマトリクスを始め数多くの作品が近未来社会を表現している。私の中では細田守氏の『サマーウォーズ』がこの世界をもっとも想像しやすいものだと思っている。
さて何を言いたいかというと、先日マーケーティング会社の先輩がメタバースは人類を救い、世界を変えるキッカケとなるかもしれない。とボソッと漏らした。具体的にどうのという話ではなかったが、このボソッとをキッカケに人類の課題、戦争と平和、宮崎駿氏の自然観、シェア経済、所有から利用、サブスクの可能性、こころと体と食生活と自然、ウイズコロナとアフターコロナ、PDCAサイクルの欠陥、改善と革新、アート思考と人間の本能の関係性などなど、興味深いキーワードから、それぞれの考えや意見が交わされ、有意義な時間を過ごしたわけだが…。それはそれとして、コロナによってモノが不足し、高騰していることで仕事も暮らしも一筋縄ではいかないと感じていた矢先のウクライナ戦争。この先、我々の生活にさらなる悪影響をもたらすであろうことは間違いないこと。であればこそ、世界情勢や経済や地域の暮らしの『変化』にこれまで以上の関心をもって、人と話、本を読み、身近なところの『外』で何が起きているのか知ることに努め、自らが考えて行動することを心掛けていきたいものだ。

 

 

12550万の力を未来へ活かせ!


タイトル数字は2021年10月1日現在の日本の人口なんですが、まあそれはさておき、最近のテレビは間違いだらけという話。街を歩いてる人10人に同じ質問をして半分以上同じような答えが返ってくれば、それらの『人』をひとくくりにして『国民』はこう受け止めてるとか『民意』はこうだと、まことしやかに報道するマスコミ。報道がバラエティ化し、面白おかしく視聴率が取れればいい程度。テレビが言ってるんだから正しいとか間違っているとか、けしからんとか、視聴者側=民意を誘導する。メディアは起きたことに対して、感情や考えを『同じ』という概念でくくる。マスコミだけでなくSNS、コミュニティと人が集まれば『同じ』が伝播する。『同じ』であれば正しい、空気がそうだから同調する。大なり小なり民意は『力』を持つ。時にそれが人を傷つけ、死に追いやることもある。戦争を引き起こし、憎しみや恨みの連鎖を生む。世界が平和で人類が幸せになるようメディアの使い方が今こそ求められるのではないであろうか。

 

コトウダグループ(古藤田グループ)