5月号|現場・現物・現実

負ける、失敗、うまくいかない…その原因ってなんだろう。


夕食後YouTubeを適当に見ていたときのこと。林修氏が若者相手に講義をしている。黒板には『情報不足・慢心・思い込み』の三つの言葉。お~これいいと思い、すぐメモる。浮かんだ文字を書き留める。受験、就職、営業、経営、人間関係…思い起こせば人生失敗の連続、いや『失敗の連続』の前に『選択の連続』だ。なぜ、選択を間違えるのか。たとえば大学受験?いろいろな大学、学部を併願して兎に角、数うちゃ当たるだろうなんてろくでもない考え。傾向と対策もへったくれもなし。それはなぜって?どうせどこかは受かると『たかをくくっている』。その根拠は?って、一言でいえば世の中舐めてた。自分は、やればできる人だからどうにかなると『思い込んでいた』。こんな風に当時を思い返せば、なるほど失敗して当たり前。その原因は何だと追求していけばこの三つに行き当たる。今考えれば、これって人生のすべてに通ずる『三戒の訓』だと心に刺さる。私はスピーチやリーダー研修でのファシリテーターをする時は事前に構成を考え、場合によってはシナリオをつくるなど入念な準備をするようにしているが、それでも失敗はする。場の雰囲気や相手側の心持に加え己の心の備えなどが良し悪しに影響してくる。若きサラリーマンの頃、30人程度の顧客を招待してフランス料理のマナー教室の司会をしたことがあった。顧客の前で頭が真っ白になって手は震えるは、舌は回らないはで散々な結果。その時、同僚スタッフから古藤田疲れているの?と言われダブルショック!!それ以後は事前にインプット情報をまとめ、事に当たる。終わった後は『気づきメモ』を残す。要するに予習と復習の習慣化。もう一つ大事なことはリーダーシップ。戦国の世、特に海の戦では大将船が常に船団の先頭に立ち、漆黒の海のしるべとなって船団を誘導するのが役目だったとされている。そこから先頭に立って、戦をリードする舟をリーダーシップと呼んだ。スピーチでもファシリテーターでも失敗しないためには自らが『シップ』になって、場を導いていくことが不可欠というわけだ。さて、話を『情報不足・慢心・思い込み』に戻そう。最近ある失敗をした社員になぜ?と問いた。答えは、あの人がこう言った、そうネットに書いてあったからとか…。と、作業をする上でのインプットが非常にあいまいであったので、あらためて『事前の準備や調べ方』についてディスカッションしてみた。特別な話ではない。何事も現場・現物・現実が基本。相手が顧客でも社内でも同様。直接会って、話を聞いて、現場に出向き、現物、現実を自分の目で、耳で、肌で感じる。5感を研ぎ澄まして頭で考えるのではなく感じることが大事。要するに手間を省いて、手っ取り早く、雑なことをすると大抵『情報不足・慢心・思い込み』に陥るということだ。以前にも書いたと思うが「事件は会議室で起きてるんじゃない、現場で起きてるなんだ!」日常茶飯、己にも周りにもそう声を掛けていきたい。

 

 

忠義の男 ジョン・マッキノン


BARレモンハートというドラマをYouTubeで観ていた。出世コースから外れた上司と、これまでの恩をどう返したら良いのか、組織とは人間関係とは…苦悩する部下の話。別れの日、上司はその部下に黙って『ドランブイ』を贈る。このお酒の由来は1745年に、スコットランド、ステュアート王家のチャールズ・エドワードが王位継承権の争いに負け絶対絶命のピンチに陥った時、忠義の男ジョン・マッキノンに助けられ無事フランスに亡命を果たすことができた。その後、チャールズは、マッキノンに褒美として王家秘伝の酒の製法を授けた。その酒がドランブイである。『忠義』という言葉がなぜか懐かしくも新鮮に感じた。この世知がない世の中だからこそ、時代に翻弄されながらも変わらぬココロ、信念と誠意、そして忠義を胸に生き続けていきたいものだ。正直者がバカを見る?大いに結構である。自分を貫き通して死ねるなら本望だ。ちなみに『ドランブイ』とは、飲むと満足の造語で『満足できる酒』という意味があるそうだ。

 

コトウダグループ(古藤田グループ)